第1章 樹への想い プロジェクトオーナー河尻和憲
― 「大きな物語」を紡ぐ ―
今、日本の広葉樹の木材供給は衰退している。
その理由は、大量消費の中でコストの低い輸入材が使われるようになったためで、
その結果、高山でも家具用としてはほとんど供給されなくなっている。
日本の材を使っていかなければ、こうした衰退を止めることはできない。
山も森も、林業や木材業が成り立たなければ荒れていき、よい木材を供給できなくなってしまう。
このプロジェクトは、小径木の広葉樹をできる限り使うことで
日本の森林を育て循環させ、守っていこうとしている。
今の日本で販売されている家具のほとんどは
中国や東南アジアの工場で大規模ラインによって生産されている。
ラインで生産される家具は一人の職人で一つの家具を作り上げるわけではない。
たとえば、部品としての椅子の脚を削り出す人、その脚を組みつける人。
そのように細分化された作業で構成されている。
けれども、MOCTAVEの家具職人は1人で椅子1脚を作る。
1人でテーブル1台、キャビネット1台を作るのだ。
家具のことが好きで好きでなければ、そんな職人になることはできない。
そして、その家具職人の技術が継承されていくためには
愛される家具を送り出し、使い続けてもらうことしかない。
― 使い込むほどに愛着の湧く家具に ―
だから、MOCTAVEは壊れたり古くなったりしたら、捨ててしまうような家具ではない。
20年でも30年でも使い、そしてもし傷んだら修理して使ってほしい。
そんな生き方を愛する人にこそふさわしい家具である。
2007年のプロジェクトのスタートから試行錯誤し、ウィスキーが樽の中で熟成するように、
時間をかけてじっくりと磨き上げられたMOCTAVE。
今、ここに送り出すことができる喜びを噛みしめている。
家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山