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第2章|意匠の道のりⅢ

2015.08.09 Sunday

 

第2章 意匠の道のり     家具デザイナー 山本真也

― オスティナート・パターンが生まれた ―

多彩な木の表情を活かす。
それがモクターブの最大のコンセプトである。
三年半ほどの間に何十ものデザイン案を出しては検討してきた。
木の表情を引き立てるために、一部に金具やガラスなどの素材を用いることも決めた。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_デザイナー_パーツそうして、椅子とテーブル、キャビネットとサイドボードという最初の四つのデザインが固まった。
広葉樹の多彩な表情を組み合わせ、その一つひとつの材の持つ表情の違いを調和とリズムで表現する、
独自のオスティナート・パターンができ上がったのである。

オスティナートとはバロック音楽によく現れる、
同じパターンやリズムを繰り返し反復させることで、
聴く人に心地よさを感じさせる技法のことである。
種々の樹々の配置の反復が、見る人に心地よいリズム感と
調和性を感じさせることから、そう名づけた。

デザインに込めた想いは、第1に無垢材の持つ力強さや存在感を
しっかりと表現したいということだ。
だから木の様々な面が見えるように配置した。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_デザイナー_職人第2は光が生む陰影をデザインに取り込むということである。
オスティナート・パターンの材に敢えて隙間を設けることで、テーブルでは上から射す光が、
床に木漏れ日のような柔らかな陰影を描く。
キャビネットやサイドボードでは、扉を開けたときに背面から入ってくる光が、内部に光芒を生み出す。

加えて、オスティナート・パターンの凹凸が光の当たる角度によって影の変化をもたらすため、
昼と夜、あるいは太陽の光の射す方向などで、時間によって異なる表情を生み出すのである。

2MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_職人MOCTAVEのデザインモチーフは基本的に直線主体だが、
椅子は背もたれの部分が両サイドまで湾曲して回り込むラウンドチェアのフォルムを採用した。
そしてこの湾曲した木の外側に、抉るようなカーブを設けている。
この曲面は機械では削りきれない部分が出る。
これを職人の丹念な鉋がけにより滑らかに削り仕上げる。
フォルムに人が触れるとき微妙な優しさを感じるはずだ。

使う人には家具に毎日、触ってほしい。
その姿を見て美しいと感じてほしい。
機能的に用途を満足させているのはもちろんだが、家具は毎日、触って、見て
「いいなぁ、美しいなぁ」と思えるものであってほしい。

そうしたデザインフィロソフィーを、MOCTAVEには込めた。

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家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

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