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第3章|匠の手Ⅱ

2015.08.12 Wednesday

 

第3章 匠の手Ⅱ  永田 康夫

永田の息抜きは、夏だったら工房の脇を流れる小川でイワナを手づかみすることだ。
近くの川でするフライフィッシングのフライも、もちろん自分で作る。
遊びと仕事の間に継ぎ目がなく、見事なほどに滑らかに繋がっている。

木と樹が大好きで「立木も含めて尊敬している」と公言する。
家具を作れば作るほど木と樹の奥深さに驚かされる自分がいるのだ。
「高山で樹に最も詳しい家具職人の一人」と周囲からも言われるようになった今でも、その姿勢は変わらない。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_職人_椅子2MOCTAVEでは椅子を担当する。
しかし、すんなりとモクターブ・プロジェクトへの参加を決めたわけではなかった。
好きなテーマで自由に家具作りに取り組む。
すでにそうした境地に達し、それが可能な条件を自ら切り拓いてきた永田にとって、
プロジェクトへの参加は、自分を縛る可能性もあった。

しかし、デザイナー山本の熱意に突き動かされて、とりあえず椅子の試作を始めてみると、
予想以上の難しさに直面した。

若い木を使う場合は木の動きをおり込んで対応を考えるのだが、
モクターブの椅子では対応方法が場合によっては一脚ごとに異なってくる。
知恵が必要だし手間もかかる。
しかし、豊富な経験から対応の引き出しを多く持つ永田だからこそ、
モノづくりの面白さを改めて感じてもいた。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_職人_椅子3そして、いつの間にか、「モクターブ・プロジェクト、やってみようか」と気持ちが固まっていた。

「若い広葉樹ならではの動きや表情と向き合い、それを楽しみながら家具を作ればいいではないか」
それが、永田の到達した結論である。

木を100%活かそうとするモクターブには、これからの家具の可能性が込められている。
木を尊敬しているからこそ、そう永田は深く思っている。

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家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

 

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