それは岐阜の広葉樹に魅せられた一人の想いから始まった。
その想いに家具デザイナーやプロデューサーが共感し、
高山の地で活動する家具職人たちの想いと共振した。
工場でのライン生産ではなく、個人工房において
職人が一人で一つの家具を木取りし、組み立て、仕上げる。
木材は岐阜で育った三十数種類にも上る広葉樹から選ぶ。
その多彩な表情を、一つの家具に組み込む。
樹種によって樹齢や生育が違い、比重も異なる。
当然、手間もかかり加工も難しい。
多くの家具工場は尻込みをした。
しかし、個人工房を営む家具職人たちがこの新しい家具作りに挑む。
”すぐに飽きられるような家具ではなく
いつまでも愛され使われ続ける家具を作りたい”
”日本では少なくなってしまった家具職人の伝統的な技術を生かしたい。
そして生かすことで引き継いでいきたい”
”日本の広葉樹が持つ可能性を材にして用いることで切り拓きたい”
”日本人が伝統的に培ってきた、室礼(しつらい)に代表される
美しく棲まう暮らしの価値観を二十一世紀の今日により豊かに甦らせたい”
そんな思いを共有した家具プロジェクトである。
「愛されない家具は作らない」
その家具の名はMOCTAVE。
日々の暮らしに木々の多彩な表情を映し
一オクターブ上の心地よさを奏でるようにと名づけられた。
MOCTAVEの紡ぐ「大きな物語」をお届けする。